陸の上にいると思ったら大海を漂流していた

彼女に振られた
彼女とは大学3年の時から付き合っており、今年の5月で丸2年になったところだった。
今年の4月からお互い就職し、遠距離恋愛になってしまったが、なんとか頑張ろうといっていた矢先のことだった。
彼女は研修医
医学部の中でもトップクラスの成績で卒業し、ルックスもよく、性格も明るい
今考えれば俺と釣り合う訳もなかったのかもしれないが、それでもこの2年間はお互い幸せな時間を積み上げてきた
倦怠期は無かったし、2人でいろんなことをし、いろんな所に行き、これからもいろんな経験を2人で共有していくつもりだった
ある日、なんの前触れもなく電話で別れを考えていることを伝えられた
驚きはしたが、遠距離恋愛への不安からつい口走ったのだろう
じっくり話を聞いてあげれば解決するだろうと、軽く考えていた
その2日後、仕事終わりに車を飛ばし彼女の部屋に行き、話を聞いた
彼女の口から出たのは他に気になる男ができたというような趣旨のことだった
頭が真っ白になった
そりゃ魅力的な男はいっぱいいるし、興味が湧くのも分かる。ショックだったのは今まで積み重ねてきた2年間が、他の男への興味の前では何の壁にもならず、崩れてしまうものだったということだ
自分の恋愛に対する認識は間違っていたのだ
彼女のことを思いやり、愛情を注いできた。ケンカもしたが、彼女の為を思って生きてきた
でも、そんなことはさして重要ではなかったのだ。離れればたった2ヶ月で、崩れてしまう脆い壁を作り上げその上で安心していただけだったんだ。
気づけば足元は崩れ去り、陸地の見えない大海を漂流している
恋愛とはなんなのか
手がかりを求めて藤沢数希の「ぼくは愛を証明しようと思う。」を読んだ
自分の境遇と重なることも多く、妙に納得したところはあったが、これが男女間の真理なのかと思うと絶望する。
皆なぜ、どうやってパートナーと付き合っているのか
どんな心境で隣に並んでいるのか